「現実を知っているのに、映像の中の“故郷”に憧れる」私たち

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「現実を知っているのに、映像の中の“故郷”に憧れる」私たち

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2026/02/08 「現実を知っているのに、映像の中の“故郷”に憧れる」私たち

映像のフランスに憧れるフランス人

 


在日フランス人の方が、日本のテレビで流れたフランスの美しい風景を見て、 「フランスに行きたくなった」 と話していた、というエピソードを耳にした。

それはどこか可笑しく、同時にとても象徴的だと思った。 その人は“観光客”ではない。 実際のフランスの生活も、空気も、人々の気質も、良い面も面倒な面も、すでに知っているはずの「当事者」だ。
それでも、テレビの中のフランスは、 彼にとって「行きたい場所」になった。

■ テレビの中のフランスは「現実」ではなく「物語」

テレビに映る風景は、現実を写しているようでいて、 実は「選ばれた現実」だ。
光の美しい時間帯、絵になる街並み、穏やかな音楽、編集されたリズム、
そこには渋滞も、役所の手続きの面倒さも、仕事のストレスも映らない。 つまりそれは「フランス」という国ではなく、 「フランスというイメージ」 「フランスという物語」なのだ。
そして不思議なことに、 実際にその国を知っている人でさえ、 その“物語のフランス”に心を動かされる。

■ 私たちも同じことをしている

これはフランス人だけの話ではない。
日本に住む私たちも、 テレビや写真で映し出される京都、北海道、沖縄、あるいは自分の故郷の風景を見て、 「行きたいなあ」 と思うことがある。
でも、そこには本当は、
  • 通勤の満員電車、
  • 日常の人間関係、
  • 生活費の悩み、
  • ちょっとした面倒事、
そうした“生活の重さ”も一緒に存在しているはずだ。
それなのに、映像の中のその場所は、 「自分を癒してくれる場所」 「今の自分が離れたい場所」 として立ち現れてくる。

■ 人が憧れているのは「場所」ではなく「状態」かもしれない

もしかすると私たちは、 フランスや京都や故郷そのものに憧れているのではなく、
  • 今より少し自由な自分、
  • 責任や役割から離れた自分、
  • 美しいものだけを見ていられる時間、
そうした“心の状態”に憧れているのかもしれない。
だから、現実を知っているはずのフランス人も、 テレビの中のフランスに向かって 「行きたい」 と言う。
それは地理的な移動の願いというより、 「今の自分から少し離れたい」 という、静かな心の動きなのだろう。

■ 私たちはいつも「どこか別の場所」を見ている

人間は不思議な存在で、
今いる場所に慣れると そこは「日常」になり、 「特別」ではなくなる。
そして画面の向こう、記憶の向こう、地図の向こうにある場所が、 急に輝いて見え始める。
でも考えてみれば、 今自分が立っているこの場所も、 別の誰かにとっては 「行ってみたい憧れの場所」 なのかもしれない。

■ 皮肉の中にある、やさしい人間らしさ

「現実のフランスを知っているフランス人が、テレビの中のフランスに憧れる」 という出来事は、一見すると皮肉に見える。
けれどそれは同時に、 人間が
現実の重さを背負いながら それでも美しいものに心を動かし 少し夢を見ることができる存在である
という証でもある。
私たちは、どこにいても、 少し遠くの風景に心を遊ばせながら生きている。
その“ささやかな憧れ”があるからこそ、 日常の現実もまた、 完全に色あせずにいられるのかもしれない。

テレビの中のフランスに心を動かしたその人は、 きっと今日も日本で普通に生活している。
そして私たちもまた、 どこかの映像を見ながら、 同じように「どこか別の場所」に、そっと心を運んでいる。

 

 

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