ある元国会議員と語る――失った者だけが立てる場所

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ある元国会議員と語る――失った者だけが立てる場所

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2026/01/04 ある元国会議員と語る――失った者だけが立てる場所

梅の木の前
その人は、もう議員ではなかった。
肩書きのない名刺を差し出してきた。
年の瀬が近い、境内の控室。
私は湯のみ茶碗を静かに置いた。
彼は言った。
「落ちました。
あっけないものですね」
声には、怒りも、悔しさも、ほとんどなかった。

負けた理由を探す人、探さない人

「理由はいくつも思い当たります。
風向き、党の状況、支持層の変化……」
私はうなずいたが、続きを促さなかった。
「でも、それを並べ始めると、
どうも、全部“言い訳”に聞こえてくる」
「それは、良い耳をお持ちですね」
彼は苦笑した。

役割を失うということ

「議員でなくなって、
一番困ったのは何ですか」
「……朝ですね」
意外な答えだった。
「起きて、
今日は誰のために動くのか、
それが、分からなくなった」
私は少し間を置いて言った。
「それは、
“役割があなたを生かしていた”ということですか。
それとも、
“あなたが役割を生かしていた”ということですか」
彼は答えなかった。
だが、その沈黙は、重くはなかった。

権力が消えるとき

「議員の頃は、
電話一本で人が集まりました」
「今は?」
「まず、鳴りもしません」
「それは、
あなたが軽くなったのです」
彼は、顔を上げた。
「重たい肩書きは、
人を集めます。
しかし、同時に、
言葉まで重くします」

政治嫌いになりましたか

「政治的な活動に、もう飽きましたか」
彼は、しばらく考えてから言った。
「嫌いには、なれませんね」
「では、
戻りたいですか」
「……分かりません」
私は、それで十分だと思った。
「戻りたい、と即答できる人は、
まだ“地位”を見ています」
「分からない、と言える人は、
ようやく“自分”を見始めています」
彼の周囲の関心とは別に、彼のよもやま話は、たった今の心情を見せに参詣されたということだった。

落選という贈り物

玄関で、私は、境内の梅の木を指さした。
「あの梅は、伯父が気に入っていた八重の紅梅です。
庇にも届かないぐらいに、今も切り詰められています。
でも、根本をご覧になれば、これまでの経歴を知ることができるのです。
太い幹でありながら深くえぐれ、しかし、春には、たくさんの花をつけるでしょう」

最後に

「あなたは、
もう選挙権者の“代表”ではありません。
だからこそ、
誰の代わりにもならずに、
人の話が聞ける」
「もし再び、
何かを引き受ける日が来るなら、
それは、
取り戻すためではなく、
差し出すためでしょう」
その背中は、
現職だった頃より、
安定して見えた。

地位を失うことは、
価値を失うことではない。
むしろ、
価値以外のものが、
すべて剥がれ落ちたあとに、
人は、
ようやく立つ場所を得る。
宗教家として、
私はそう信じている。

 

 

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