(日本の再生が世界の価値体系の手本となる)
本日ここに、東日本大震災と阪神淡路大震災追悼の集いを執り行うにあたり、それらの震災や津波でお亡くなりになりました二万六千人の方々の御霊(みたま)に対し、謹んで哀悼の意を表します。そして今なおその後遺症に苦しんでおられる方々に対し、心からお見舞いを申し上げます。
昨年の三月十一日の午後に宮城県沖を震源とした日本の観測史上最大の規模の地震が起き、それによって生じた大津波で、多くの方が水死などでお亡くなりになり、また行方不明となられています。また原子力発電所の大きな事故を引き起こしました。
当会では阪神淡路大震災の追悼を行うために本行事を行ってまいりましたが、今回は、それに併せて、東日本大震災でお亡くなりになった方々の追悼を行わせていただきます。
今から十七年前の今日、一月十七日の早朝の地震により、阪神間から淡路にかけて多くの被害がありました。多くの家屋やビルディングが倒壊し、多くの方々がお亡くなりになりました。お亡くなりになった方の多くが、家屋や家具の下敷きになり、あまりに短い時間のうちに圧死されています。また火災に巻き込まれ、お亡くなりになった方も多くいらっしゃいます。
震災後すぐに、ご神前に供えた食べ物を、震災でお亡くなりになった霊体の方々にお供えしました。霊体の方々が群がるようにお越しになりましたが、人の姿とは思えぬお姿を見せられた方もいらっしゃり、驚くばかりでした。ですから、今回、あまりの惨事となった東北大震災でお亡くなりになった方々がお越しになれるように阪神淡路大震災に併せてお祀りさせていただきました。
今回の大きな災害を世界中に配信したのは、マスメディアに加えてソーシャルメディアでした。ネット上で、即時に状況を伝えることになりました。被災地の、そして日本の人たちの挙動に世界中が注目し、その反応が世界中を駆けめぐることになったのです。
世界中の方が東日本大震災の被災地の支援に動きました。私たちも、お祈り、募金、節電、ハート&ソウル支援をしました。
東日本大震災で、関西広域連合の参加府県が特定の被災県を決めて継続的に支援をするカウンターパート方式を採用し、兵庫県は、宮城県を支援をしています。そこで私が会長を務めさせていただいている兵庫県単立宗教法人連合会も宮城県に義援金をお送りしました。
阪神淡路大震災で、兵庫県は、創造的復興を目標に都市改善を進めました。人と防災未来センターに財団法人ひょうご震災記念二十一世紀研究機構があり、そこに「市民による追悼行事を考える会」の事務局が置かれています。わたくしも「市民による追悼行事」の呼びかけ人をさせていただいています。
阪神淡路大震災では、私自身も震源に近い神戸の中央区にいました。建物は無事だったものの、部屋の中は、すべてが崩れ落ちました。私は、肉体的には無傷(むきず)でしたが、社会のなかで組み上げた価値が崩落したのです。それは、生きることの意味を失わせます。死の誘惑がありました。そばにいる友人の支えがあって、その誘惑からまぬがれました。翌日には、神戸をあとにし、出雲、津和野で三週間を過ごし、その後、二年間、明石でお世話になりました。
私の拠り所、神戸には、しばらく戻れませんでした。命をつなぐために、それまで自ら精一杯に生きた基礎が、震災で崩れたのです。自分の拠り所を離れて、暮らさせていただきながら、生かされることでしか生きられないことに気づいたのです。人は、神に見守られ、人に支えられて生きるのです。人さまのお世話で暮らさせていただくには、体裁の良い自分の殻を脱がなねばなりません。しかし殻を外すと幸福を肌で感じるのです。生かさせていただく幸せは、周囲の人さまの尽力のたまもの、周囲への感謝とともにあったのです。
お亡くなりになった方々の慰霊や供養は、生きている方にとって、価値のある活動です。当会の神域での霊体の慰霊を神計らいによって執り行わせていただけることで、私たちの祈りが、まっすぐに霊体に働きかけます。ここには、お亡くなりになった方々が、お喜びになる配慮があるのです。そして霊体の方々にお喜びいただくことで、生きている私たちが、これから心地よく過ごさせていただく糧とすることができるのです。
東日本大震災では各種のメディアが、被災地の危険な状態でも法を厳守し、秩序を守り、抗議も少なく、慌てず騒がず、落ち着いている様子を伝えました。その民度の高さが、世界中を驚かせ、私たちは、驚いた方々を見て、私たちの誇るべき特質を知ったのです。東北の方々の我慢強さが、日本中に、そして世界中に印象づけられたはずです。英語にはガマンを説明する言葉はあっても、耐えて、未来に託す言葉がないのです。私たちが我慢できるのは、一人ひとりが独立しているのではなく、その全体に人智の及ばない配慮があって、周囲の人たちと共同体を形成していることを知っているからです。
兵庫県姫路市において、本日の集いに臨み、私は、大きな自然災害によって生じた大きな苦難の解決が、どなたにとっても難しいことを再確認し、今後、大きな苦難を招かないように、また日常的に、あるいは不測の事態によって負った心の傷を、どなたもが安心して治癒できる社会の実現に全力で取り組んでいくことを、そして、また近年、世界の大きな価値体系の変化をだれもが感じている中で大きな犠牲を伴って日本人自身に、そして世界中の人たちに明らかにすることになった日本の特質が、日本の再生の原動力となり、そして世界の手本となるよう最善の努力を講じることを、御霊(みたま)の前にお誓い申し上げます。
終わりに、お亡くなりになられた方々のご冥福と、ご遺族並びに被災者の方々の今後のご多幸を心からお祈りし、併せて参列者並びに関係者の皆様方のご健勝をご祈念申し上げます。
平成二十四年一月十七日
修生会 会長 中澤鳳徳